野分
2009年8月31日
野分(のわけ、のわき)とは、立春から数えて二百十日頃、今年は8月31日にあたり
ます。昔から二百十日を中心に台風がやって来ると申しますが、また来て欲しくない
ものです。古くは台風と云う用語はなかったようで、風が野を吹き分ける秋の強風の
意で、台風を含めて秋の強風は すべて「野分」と申しておりましたようです。でも
台風がやって来たから、これを食べましょうよ!と云う約束事は無論ありませんで、
秋の気配が漂い始める野分の頃の 山郷料理をお楽しみ頂ければと思います。
今週の初の膳 酒の肴膳は、「野分」をテーマとして
秋味の野分け焼き、大徳寺麩と独活のべっこう炊き
秋茄子と穴子のずんだ和え、湿地胡麻豆腐の猪山家葛あん
ごんぼう煎餅、名残り鱧と茗荷の味噌汁、 お口すすぎは 梨 でございます。
さて、台風ともなると「猪もともに吹かるる野分かな」(芭蕉)などと、呑気に構えて
おられません。一雨ごとに朝夕の冷気が深まり、台風一過の澄み切った秋空を
見上げておりますと「いよいよ酒と肴の旨さも深まる」などと思うのも私たち酒従の
楽しみでもございますが、今年の広島は台風も来ませんし、まだまだ残暑は暫らく
続きそうですね。
新涼
2009年8月24日
立秋そしてお盆も過ぎた初秋に 天地すべてが、涼気が帯びて来るのを申しますが、
日中は まだまだ残暑殊の外きびしく 若干ではありますが、朝夕何んとのう涼しく、
しのぎやすくなった今日この頃「涼し」とするのは 暑さあってこその季語「新涼」では
ないでしょうか。 「 秋涼し 手毎にむけや 瓜茄子 」 芭蕉
今週の初の膳 酒の肴膳は、「新涼」をテーマとして
鮎の名残り焼き、茄子の猪飛騨味噌煮 ちりめん覚弥、
百合根鴨まんじゅう、茗荷梅かつを青紫蘇巻き
蕎麦米汁、 お口すすぎは 山家実山椒 でございます。
「紀州梅がつを青紫蘇巻き」
紀州の南高梅を当亭独自の梅がつをに仕上げ、これまた数日間寝かせば、
生唾ものの旨さ百倍...その梅がつを&茗荷千切りと共に青紫蘇で巻きました。
「ちりめん覚弥」
覚弥とは一説にはこの料理を考えられた坊さまの名前とか!? 定かではありません
が、要は夏漬物の古漬を膾(なます)にし、音戸ちりめんや生姜みじん切りと共に
和えました。古漬特有の味わい深い酢つぱさが、堪らなく食欲をそそります。
今年の八月も日毎連続の暑い毎日でいささか私たちの体が、すがすがしい秋を待ち
わびております。今週は過ぎ行く夏の素材にて夏の名残りの「食欲増進 山里料理」
と致しました。
送り火
2009年8月17日
送り火は、盂蘭盆の十六日に、十三日の夕方に門前で麻幹(おがら)を焚いてお迎え
した精霊をふたたび火を焚いてお送りすることを申します。この風習は中世の頃から
行われ江戸時代に民間に普及したものだそうでございます。地方によっては違うよう
ですが現在行われている中では京都の大文字がよく知られており、盂蘭盆が終わる
頃もなれば 朝夕に秋の気配が漂い始めます。
今週の初の膳 酒の肴膳は、「送火」をテーマとして
お精進送り火和え、くるみ豆腐信濃煮
無花果胡麻密だれ、生麩酢味噌、初秋茄子田楽
湯葉とろろ汁、お口すすぎは 大徳寺納豆 でございます。
今週は、年に2週のみの精進料理で初秋の精進料理です。 私達も年に一、二度は
心を澄まし、清らか気分で精進料理を酒の肴に賞味しながら祖先を憶い、自分を振
返る一刻が欲しいものでございますね。
出雲民藝手仕事展
2009年8月12日
心と体と自然にやさしい大人の逸品生活を彩る用の美
「高橋鍛冶屋」 出雲民藝手仕事二人展 「斐伊川和紙」
日時 9月21日(月)・22日(火)・23日(水)AM10:00~PM17:00
場所 当 爐談亭 最終日 AM10:00~PM16:00
後援 広島県民藝協会 / 爐談亭
■高橋鍛冶屋 http://www.takahashikajiya.com/index.html
[展示品目] 民 藝 燭台類・門灯・行灯・灯籠の各種
お茶香炉・アロマ台・五徳・火箸
吊り花器・吊り花台・自在カギ
農具 鍬類・鎌&鋏など刃物類の各種
包丁 出刃包丁・柳包丁・菜切&万能包丁
果物&切出しナイフ・ペーパーナイフ各種
■斐伊川和紙 http://www.saningoods.com/hiikawawashi/
[展示品目] 封筒&便箋セット・葉書・巻紙・襖紙&障子紙
和風バッグなど 手漉き出雲和紙の各種色々
◆この期間中は爐談亭の営業はお休みに付き、展示会のみの開催
爐談亭の空間にて、代々引き継がれた伝統手仕事をお楽しみ下さい。
出雲和菓子と冷たいお飲物をご用意致し、お待ち申し上げております。
◆ 尚、各種音楽会&絵画・美術展示会&茶会などの各種文化活動に、
爐談亭の空間を当亭定休日(日曜祭日のみ)に ご利用頂いております。
詳しくは爐談亭 亭主まで お問い合わせ下さい。 TEL 082-247-1378
立秋
2009年8月10日
立秋は二十四節気のひとつで今年は7日を申します。立秋は夏至と秋分の丁度中間
にあたります。暦の上では、この日から秋に入り立冬の前日までを秋とし、立秋は季
節の区切りとされております。秋と申しましても秋とは名ばかりで尚も厳しい残暑が続
き古歌がむしろ立秋の季節感を伝えておりましょう。「秋来ぬと目にはさやかに見えね
ども風の音ぞ驚かれぬる」等と、この時節の気象上も夏型気圧配置が一時的に衰え
ることにより、雲や風の様相に秋の気配がしのびよってくるのが僅かながらも感じられ
るようでございますね。
今週の初の膳 酒の肴膳は、「立秋」をテーマとして
鮎煮びたし、十三豆と蒸し鶏の胡麻和え
小芋安倍川、南瓜真薯青汁、穴子茗荷なます
沢煮椀汁、お口すすぎは すだち茶 でございます。
今日の出勤途中では「赤とんぼ」を見かけましたが、秋は早いと申しましても気持ちの
上でも炎暑の中に秋の気配を早く感じたい思いでございます。 盆の行事が一般に
月遅れの八月十五日前後に行われるので、行事上の秋は今日でも早いものでござい
ます。暦の上では秋とは申せ、まだまだ暑き日々が続き食欲の失せる頃ではござい
ますれば、今週の膳に「秋の気配」を感じて頂ければ幸いに存じます。
八朔
2009年8月03日
八月朔日(ついたち)を略して「八朔はっさく」といい、この頃 早稲の稲穂が実るので、
古く農民の間では初穂を恩人に送る習わしから 田実(たのみ)の節句、田面(たおも)
の節句とも申します。この日には米団子を作って田の実なりを賀したり、厄除けと称し
て桃を食べる日でもあったようでございます。また 武家では「たのみ」を「頼み」にか
け、日頃お世話になっている頼み合っている人に、その恩を感謝する意味で贈り物を
するようになったようで「御中元」の始まりとも云われ、夏のお正月の意味合いも含ん
でおるようです。
今週の初の膳 酒の肴膳は、「八朔」をテーマとして
八朔泣豆真薯、鱸たで味噌焼き、はも柳川煮
厄除け桃の胡麻密だれ、瓜雷干し笹身風干し酢
田の実団子汁、 お口すすぎは いり米 でございます。
この日、宮島では藁で編んだ田面船を作り人形を乗せて海へ流し、対岸の大野町で
は流れ着いたこれを拾いあげて田の畦に埋めると豊作になるとしたそうで、八朔の日
から夏の昼寝をやめて、この夜から夜なべ仕事をする切り替えの日でもあり、立秋を
前にして夏が過ぎると云う意もあり、秋ともなれば「夜なべ仕事が待つとる」のと泣き
べそかきながら「八朔泣豆真薯」を食べて田実の節句を賀し、古人は季節のくぎり
節目を大事にしたようでございます。早いものですね。八月七日には 「立秋」を迎え、
暦の上では秋となります。






